金融商品・サービスが多様化・複雑化する中、金融商品を巡るトラブルが増加傾向にあります。
これまで、こうしたトラブルに対する顧客の苦情等については、各金融業界の業界団体等が対応したり、それでも解決に至らない場合は裁判手続きにより解決が図られてきました。
しかし、業界団体による対応では中立性や公平性の観点から問題があったり、裁判にいたっては手続きが煩雑な上、膨大な費用と時間がかかることから、今後さらに増加が見込まれる金融トラブルの解決策として不足が指摘されてきました。
こうした状況を受け、今年4月より、金融商品取引法の一部改正(金融商品取引法第37条の7)により、新たに金融ADR制度が創設されました。
ADRとは裁判外の紛争解決手段のことで、仲裁・調停・あっせんといった手段により、中立的第三者が介在する形で紛争の解決を図るものです。
この金融ADR制度に基づき、裁判よりも簡単・安価・迅速な上、非公開の為プライバシーや企業秘密を守ることができる私的紛争処理方法(調停・あっせん等)により、問題を解決することができます。また、裁判官よりも金融商品や金融業界の特殊性に精通した専門家が紛争解決に関わることで、当事者にとってより合理的で納得のいく解決策につながりやすいといった効果も期待されています。
こうした新たな金融ADR制度の施行に伴い、金融商品取引業者には今年の10月1日から様々な行為規制が課せられることになります。それに先立って、金融商品取引業登録業者には、各財務局・財務事務所から『ADR制度への対応状況に関する報告書』の提出命令が発せされている状況です。
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